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Published on 5月 27th, 2015 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「チャッピー」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「チャッピー」感想

[2015年 監:ニール・ブロムカンプ 出:シャールト・コプリー、デーヴ・パテル]

ハートを持ったウサ耳ロボ

2016年、南アフリカ・ヨハネスブルグ。犯罪が多発するこの都市では、治安維持を目的としたロボット兵器の配備が進められていた。軍事企業テトラヴァール社の科学者・ディオンは画期的なAI(人工知能)ソフトウェアを独自開発するが、AIロボの試作案は上司によって却下される。廃棄が決まっていた治安ロボットを密かにラボから持ち出し、研究成果を実証しようとするディオン。しかしロボットの悪用を企むギャング一味が彼を拉致、治安ロボを修理して引き渡せと迫る。AIを組み込まれ、「チャッピー」と名付けられたロボットがついに起動したとき、そのボディの中には機械が決して持ち得ないはずの「魂」が宿っていた……。

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高性能のチタン製ボディと子供の無邪気さを併せ持つチャッピーを演じるのは、『第9地区』(09年)の小役人ヴィカスことシャールト・コプリー。常時テンパっているような高い声と落ち着きのない動きが、いわゆるロボット的なイメージから相当かけ離れているため、チャッピーの特異性は弥が上にも際立つ。いっぱしのギャングを気取るロボットが、無い鼻を擦り、スラングを話して粋がってみせる姿は、大人の前で精一杯背伸びする少年のようでもあり、見ていて微笑ましい。

そんなピュアなロボットを教育する立場にいるのがチンケなギャングのバカップルという、何ともミスマッチな取り合わせがまたユニークだ。アホなタトゥーを入れ、ピンクやイエローにペイントした痛車ならぬ痛銃を振り回すこの二人の名はニンジャとヨーランディ(演じるのは南アフリカの音楽ユニット“Die Antwoord”のニンジャ&ヨーランディ。マンマか!)。パッと見たところルックスに華は無いし、日本版予告編でも然してスポットを当てられることなくスルーされていたので、どうせ噛ませ犬ポジションだろうと高を括っていたのだが、観て驚いた。チャッピーが人格を形成していく過程で最も重要な役割を果たすキャラクターこそ、この二人なのである。意外なキャラが思わぬ自己犠牲的行動をとる場面でグッとボルテージを上げてみせるのはブロムカンプ監督の得意技だが、本作でこの要素を担うのはニンジャとヨーランディだ。ハッキリ言って、予告編でフィーチャーされていたヒュー・ジャックマンやシガニー・ウィーバーなんかよりもよほどオイシイ役回り。この二人無くして、映画『チャッピー』は成立しないのである。

『第9地区』と『エリジウム』(13年)で、ブロムカンプ監督のロボット愛やフェティシズムは既にダダ洩れではあったが、今回チャッピーに人格が宿ったことで、それらがついに行き着くところまで行き着いた感がある。「人を人たらしめるものは何か?」という問いに対して本作が呈示する答えはなかなか大胆で、ハッピーエンドかバッドエンドかの解釈も観客によって分かれるところだと思うが、紛う方なきブロムカンプ作品の刻印として異様な説得力を映画に与えていることは確かだ。

日本では、年齢制限対策として監督未承認の再編集が行われたという情報が流れ、公開前から不満の声が上がっていた。確かに途中、極めて雑に「ハサミを入れられた」と分かる箇所がある(改変するならせめて、そうと判らぬよう丁寧に処理してもらいたいものだ)。毎度の要らぬお節介にゲンナリしてしまう騒動であるが、そこも「よし、中学生以下でも胸を張って入場できるのだ!」とポジティヴに受けとめつつ、まずは劇場でチャッピーの活躍を堪能してみようではないか。大きなスクリーンで観るならば今しかないわけだし、何より、ウサ耳ロボの可愛さは保証できますので。

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映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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