ライフスタイル eyecatch_sato03

Published on 5月 28th, 2015 | by ダッド編集部

0

映画ギーク佐藤光の「アバウト・ア・ボーイ」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「アバウト・ア・ボーイ」感想

[2002年 監:クリス・ワイツ&ポール・ワイツ 出:ヒュー・グラント、ニコラス・ホルト]

オトナコドモ、コドモオトナ

ロンドンで悠々自適に暮らすウィルは、38歳の独身貴族。女性遍歴は派手だが、気楽な付き合いを好む性格故に、どの女性とも長続きしない。あるシングルマザーとの短い交際がきっかけで「片親と付き合うのは後腐れが無くてラク!」と勝手に思い込んだウィルは、片親同士の交流会にナンパ目的で参加する。さっそくスージーという女性をデートに誘ったが、待ち合わせ場所にはスージーの親友であるフィオナの一人息子・マーカスも一緒だった。やはりシングルマザーの母を持つマーカスは、ウィルの本性を見抜いた上で、情緒不安定なフィオナの心の支えになって欲しいと彼に頼む。かつてない「面倒事」の予感に顔をしかめるウィルだったが、マーカスとの交流を続けるうち、この自己チューな中年男の胸中にある変化が起こり始める……。

[amazonjs asin=”B008X09WLM” locale=”JP” tmpl=”Small” title=”アバウト・ア・ボーイ Blu-ray”]

セレブの自己喪失は様々な映画で描かれるが、個人的にはコレ、登場人物への共感を損なわせる危険性を多分に含んだネタであると思っている。高級ホテル住まいでガルウィングのスポーツカーを乗り回し、宴席で美女を侍らせる色男が「ああ、なんと空虚な我が人生……」とか何とか独白を始めた途端「お前、たいがいにせぇよ」という感情ばかりが先行してしまうのだ。その点、「亡き父が一発当てたクリスマス・ソングの印税収入で暮らす男」という本作の設定には、棚ボタなラッキーの中に程よい可笑しみが同居しているおかげで余計な嫌味っ気を感じずに済むし、何せ演者がヒュー・グラントである。このガチャピンまなこが正統派二枚目俳優と持ち上げられる風潮には抵抗があったが、ウィルのように幼児性を払拭しきれていない男を演じた時の実在感は確かだ。「僕ってやつは……ホントに空っぽなんだ」と告白する瞬間の説得力を見よ!。『笑っていいとも!』ばりに「そうですね」と返答してやりたくなる。

そんな頼り甲斐のないウィルも、いじめられっ子のマーカスにとっては数少ない友人であり、大人の相談相手だ。オトナコドモとコドモオトナという安定性に欠ける組み合わせだからこそ、観ているこちらもハッピーエンドへの願意を持ち続けられるというものである。大きな問題を投げっぱなし、とまではいかないものの、物語の落とし所を本来の着地点から数歩手前に設定しているため、全てのピースがピタリとはまって終わるわけではない。空っぽ一筋38年間を過ごしてきたウィルの人生は、一度や二度の転換点で様変わりするようなものではないだろう。彼の再出発はまだ始まったばかり。「観客に結末を委ねる映画というのはよくあるが、この場合「登場人物にその後の展開を委ねた」と言えるかもしれない。

風変わりだが優れた洞察力を持つ少年・マーカスを演じるのは、これが本格的長編デビュー作となったニコラス・ホルト。特徴的なつり眉毛はそのままにグングン成長し、その後も青い毛モジャの怪物やら恋するゾンビやら、なかなか興味深い役選びでセンスの良さを見せた。六月に日本でも公開される『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15年)では、スキンヘッドに白塗りという狂気の風貌で荒野を爆走する模様。うむ、やはり信用できる若きクセモノ俳優である。

ドラマ映画」のレビュー一覧

佐藤氏の過去の映画レビューはこちらから

年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

Tags: , , , , , , , ,



Comments are closed.

Back to Top ↑
  • スポンサードリンク




  • 厚生労働省 イクメンプロジェクト賛同企業です

    ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

  • FACEBOOK