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Published on 10月 22nd, 2015 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「フェイク」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「フェイク」感想

[1997年 監:マイク・ニューウェル 出:アル・パチーノ、ジョニー・デップ]

赦し

FBI捜査官ジョセフ・ピストーネは、「ドニー・ブラスコ」の変名でマフィア組織構成員のレフティに接触、組織への潜入に成功する。レフティやその仲間たちからの信頼を得て、次第にグループ内で頭角を現すようになっていくドニー。彼の働きにより、FBIはファミリーの内情調査を着々と進め、構成員大量摘発の機会を窺っていた。だが組織内で行動を続けるうち、レフティとの間に立場を超えた友情を感じ始めていたドニーは、任務と個人的感情の狭間で深い苦悩を味わうようになり……。

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ニューヨーク・マフィア「ボナンノ・ファミリー」への潜入捜査で組織に大打撃を与え、その首に50万ドルもの懸賞金をかけられたFBI捜査官ジョセフ・ピストーネと、マフィアの一員である“レフティ”ベンジャミン・ルッジェーロの交流を描いたドラマ。

レフティは、マフィアとしての盛りをとうに過ぎた「負け犬」である。地道に励めばいつか報われると信じて汚れ仕事を続けてきたが、気付けば手元には何も無いまま、歳ばかり食ってしまっていた。息子は薬物中毒、長年連れ添った女にも苦労をかけてばかり。チャンスは悉くソッポを向き、組織内での出世はもはや絶望的だ。『ゴッドファーザー』三部作や『スカーフェイス』(83年)で一大マフィア帝国を築いていたアル・パチーノが、本作では冴えないジャージ姿で惨めな境遇についてボヤくショボクレた中年構成員を好演。己の限界を痛感していたレフティは、突如として目の前に現れた若く才能あふれるドニーに可能性を見出し、自分が果たせなかった大成の夢を彼に託す。

ドニーも、レフティの信頼の強さと期待の大きさを理解しているだけに、任務のためとはいえ「恩人」を欺く自分自身に嫌気が差している。いっそ過去など放り出してギャングの一味になってしまおうか……だがそれは無理だ。FBIとしての経歴を消し去ることはできないし、ジョセフ・ピストーネとしての彼には妻も子どももいるのだから。いずれ必ず訪れる決別の瞬間に向けてひた走るしかない、孤独なマラソン。ジョニー・デップの端正だが哀愁漂う表情も、物語の悲劇性を高めるのに大きく貢献している。今でこそメジャー系大作映画での活躍も多くなったデップだが、当時はこういった暗さを内包するキャラクターの役がよく似合っていた。

真相が明るみに出てしまえば、裏切り者を組織に引き入れてしまったレフティに待っているのはファミリーによる粛清である。上からの命令で自らも大勢の仲間を始末してきたレフティには、そのことがよく分かっている。失望続きだった人生にとどめを刺すような一撃だが、仁義など有名無実の裏社会で一人の男を信頼し、愛したことに後悔はない。運命を受け入れ、死地に赴こうとするレフティが家人への言伝でドニーに「赦し」を与える場面は感動的だ。実際の顛末は映画で描かれたものとはかなり異なるようだが、観る者の心を揺さぶるエンディング構築のためには必要な改変だろう。脚色のお手本とでも呼ぶべき、見事なラストである。

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年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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