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Published on 11月 17th, 2015 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」感想

[2014年 監:グザヴィエ・ピカルド&ハンナ・へミラ 声:ラッセル・トヴェイ]

ハタ迷惑な大旅行

フィンランドのどこかにあるムーミン谷で悠々自適の生活を送るムーミン一家は、ある日「ふとした思いつき」で南の海へとバカンスにやってくる。豪奢なリゾート暮らしを大いに満喫するムーミンパパとフローレンだったが、ムーミンとムーミンママはどうにも新しい環境に馴染めず、ついには宿泊していたホテルを飛び出してしまう。旅先で降って湧いた一家離散の危機。はたして彼らは家族の絆を取り戻し、無事にムーミン谷へと帰り着くことができるのか……。

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原作者トーベ・ヤンソンの生誕100周年記念作品として母国フィンランドで作られたアニメーション映画。確かにキャラクターの外見はお馴染みのものだし、そもそも筆者は日本版のアニメ番組を熱心に追いかけていたわけでもないのだが、何でしょう、この感触は?長期休暇をとっていた知人に久方振りに再会したら、まるで別人格になっていたような違和感が……もっとあけすけに言うならば、今回のムーミン一家、深く静かに狂っております。

開幕早々、今日も今日とてホンワカ過ごしていたムーミン一家の眼前で海賊船が座礁、海賊たちは浸水した船から救命ボートで脱出する。無人となった難破船を前にして、ムーミンママが嬉しそうに一言、「何が積んであるのかしら。行ってみましょ!」……お母さん、まさかの火事場泥棒宣言。おいおい、吉村昭の小説にこんなのあったな。しかも行ったら行ったで金銀財宝には目もくれず、ブン獲ってきた物といえば熱帯植物の種、ガーデニングの本、打ち上げ花火……ウーム。淡々と略奪に勤しむファミリーの傍らでは、ミイちゃんが鋭い歯を武器にサメと格闘中だ。オッス!オラ、なんかクラクラしてきたぞ。

大荒れの海を渡ってお目当ての行楽地に到着した後も、浮世離れした一家の猛進撃(?)は止まらない。高級ホテルのスイートに木賃宿感覚でズカズカと上がり込み、私有地の花壇を荒らし、「悪趣味な」知事の像は川へポイ捨て(30年前の阪神ファンかよ)。別に悪意があるわけではなく、大モトの金銭感覚や生活形態が常人とズレているだけなので、お叱りもあまり効果が無いのだ。しまいには袋詰めにして旅先に持ち込んでいた「とんでもないもの」を街に解き放ち(←これも盗品)、呑気に日光浴などカマしていたブルジョア連中をカオティックな地獄に陥れる。君ら、ホントにムーミン一家か?いや、実は僕らの身近にいたファミリーは同種族のソックリさんか何かで、こちらこそが本家本元、純ナマのムーミントロールなのかも。墓場とゲゲゲの違いみたいなもんか。さすがフィンランド、まだまだ手つかずの秘境が存在するようである。

お話はあっちで道草、こっちでフラリと、まるでムーミン谷のライフスタイルを転写したような奔放さで進んでいく。懐かしい声優さんが勢揃いした日本語吹き替え版で鑑賞すれば違和感も多少は薄らぐが、「不思議なものを観た」という感覚は程度の差こそあれ必ず残ることだろう。脳内がクエスチョンマークで一杯になってオシマイ、となる可能性も否めない。しかしこのヘンテコ世界観に浸るのが快感になればシメシメだ。静かなる暴れん坊将軍ムーミン、今後はもう「こっち向いて」などと気安く声をかけるワケにはいかない(大袈裟だっつーの)。

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年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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