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Published on 12月 11th, 2015 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「復讐捜査線」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「復讐捜査線」感想

[2010年 監:マーティン・キャンベル 出:メル・ギブソン、レイ・ウィンストン]

メルがキレたら制御不能

ボストン警察に所属するトム・クレイヴンの娘が、彼の眼前で射殺された。当初は刑事の命を狙った結果の巻き添え殺人とみられた事件だったが、独自に調査を進めたトムは、娘が何者かによって被ばくさせられていたこと、そして凶行の裏には核エネルギー研究会社と官界が結託した恐るべき極秘計画が存在していたことを突き止める。復讐に燃えるトムは娘の仇を討つため、巨悪を相手取って捨て身の弔い合戦を仕掛けるのだが……。

テレビ用のミニ・シリーズとして制作された『刑事ロニー・クレイブン』(85年)を、オリジナル版でも監督を務めたマーティン・キャンベルが劇場用長編作としてセルフ・リメイクしたポリティカル・アクション。主演のメル・ギブソンは私生活での人種差別発言や酒癖の悪さ、DV疑惑で大いに株を下げてしまったが、映画じゃそんなの関係ねぇ!確かにシワは増えたし、頭髪もチョッピリ寂しくなった……しかしフタを開けてみれば、老いてなおマッドでリーサルな僕らのメルである。

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個人が巨大組織に一泡吹かせるというのは、たとえフィクションの世界であっても容易なことではない。ワルどもの首領ってやつは大抵が金持ち。汚れ仕事は手下に任せ、テメェは豪奢な牙城にドッカと居座って葉巻を燻らせながら高級ブランデーなんぞ啜っているのである(何とまぁ、ステレオタイプなイメージよ)。おのれ天誅!と慣れない刀を振ってみたところで、敵ボスの喉頸には切っ先が届かない。かくして市井の臣は泣き寝入り、大悪党は野放し状態で悪辣稼業に精を出す……という流れが普通なのだが、そんな一般ピープルの中にも稀に「絶対にチョッカイを出してはならない相手」が紛れ込んでいる場合がある。本作の主人公トム=メルギブはまさにそれ、一度キレたら手がつけられない人間核弾頭だ。こともあろうに、こんな男の一番大切なものを奪うとは……ハッキリ言って愚の骨頂。ヤツらきっと、『マッドマックス』(79年)も『リーサル・ウェポン』(87年)も観たことないに違いない。

物語の開幕から10分そこそこで娘を失って以降、我慢のリミッターなど無いも同然の強引捜査で点と点を結び繋いでいくトム。詭弁を弄する悪者相手に、「まずは外堀から埋めていく」なんてまどろっこしいことはしない。そんなの時間の無駄だから!イエスかノーかで回答が得られなければ、恫喝と肉体言語で無理にでも口を開かせるまで。敵がようやく「ひょっとして俺たち、とんでもない狂犬を敵に回してしまったのでは……」と気付き始めた頃にはもう遅い。ボストンの葬儀屋さんは既に予約で一杯だ。

アクション・シーンは全体的にかなり地味だし短めなのだが、攻め手にツイストと絶妙な抑制が効いており、しかも予想外の場面でいきなり始まるものだから、音量大きめで鑑賞しているとかなりビックリする。特筆すべきは、牛乳(!)を使った斬新な攻撃方法。バカバカしくも恐ろしい、そしてメルギブのパブリックイメージ(ドS)にピッタリな小道具である。こんな場面を堂々成立させてしまう役者が、プライベートでのチョンボのせいで干され気味、ってのは実にもったいない話だ。映画関係者ならびに映画ファンの皆様、どうか過去のことは水に流して、いま一度メルギブに再起のチャンスを与えてはもらえないでしょうか。キレ芸だって、極めれば立派な無形文化遺産ですよ!!

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映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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