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Published on 12月 25th, 2015 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」感想

[2015年 監:J・J・エイブラムス 出:デイジー・リドリー、ハリソン・フォード]

やるじゃん、J・J!

『スター・ウォーズ』……甘美な響きである。映画ファンにとってはもはや説明不要、映画にさほど興味がない人でも、これを聞けば何がしかのキャラクターや音楽、ガジェットが思い浮かぶであろう魔法のタイトル。熱狂的ファンともなれば、本編公開前に数点のポスターやスチル写真が発表されただけでストーリー予想・作品分析をおっ始め、2分そこそこの予告編を繰り返し観るためだけに映画館へ足繁く通う。もう何から何まで別格、映画を取り巻く状況も異例・特例ずくめなこのシリーズが、2015年12月、ついに大スクリーンへと帰ってきた。『ジェダイの帰還』(83年)で繰り広げられた「エンドアの戦い」から約30年後、銀河帝国の残党によって結成された悪の組織「ファースト・オーダー」と抵抗軍の新たなる死闘を描くのは、もう一つの人気宇宙SFシリーズ『スター・トレック』のリブート作も手掛けたJ・J・エイブラムス監督だ。

J・J・エイブラムスの映画は、プロモーション段階から既に本編が始まっていると言っても過言ではない。虚実織り交ぜた前情報を小出しにして、飢えた映画ファンをSっ気タップリに焦らしまくるのである。製作を務めた『クローバーフィールド/HAKAISHA』(08年)公開前には、破壊された自由の女神像のヴィジュアルやYouTubeに投稿された架空のニュース映像で期待を煽り(筆者が行ったジャパン・プレミアでも、「手持ちカメラ酔い」した観客のために救急救命士が場内待機、なんてハッタリ演出がついていた)、監督作『SUPER8/スーパー8』(11年)では、貨物列車の脱線事故と内側から破壊されるコンテナの映像で構成された謎だらけのティーザー予告をリリース、観た者に「一体全体どういう映画なのよ!?」という興味を抱かせた。徹底した情報規制と巧みな宣伝戦略で映画ファンの関心を引く「呼び込み芸」……おお、まさに『スター・ウォーズ』の興行的特性にピッタリな資質ではないか!

とはいえ、肝心の中身がショボショボであれば、いくら呼び込みの手腕が冴えていようとそれは単なる山師どまり。おまけに『スター・ウォーズ』シリーズに対するファンの要求は、一見大ざっぱだがその実非常に繊細、そして際限がないものだ。お約束やオマージュばかりでは「陳腐」と一蹴され、斬新奇抜なアイデアを盛り込み過ぎれば「コレジャナイ!」と撥ねられる。シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスでさえ、『ファントム・メナス』(99年)からのプリクエル三部作ではファンの理想を具現しきれずに辛辣な批評を食らってしまったほどだ(そもそも分が悪い勝負であったことも確かだが)。実際のところ、PR能力と監督としての技量の落差を意地悪く指摘されることも多いエイブラムス、かような難題を如何にしてクリアするつもりなのか……答えは「原点回帰」、そしてこれ以上ないほど純化された「正攻法」だった。

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旧シリーズ2作品のシナリオを手掛けた大ヴェテラン、ローレンス・カスダンを招聘して完成させたシナリオは、大まかなストーリー展開こそ第一作『新たなる希望』(77年)をなぞっているように見えるものの、人物造型やキャラ同士の掛け合いに過去作とは微妙に異なる色付けが施され、時流に合わせたテンポの変更もそれと分からないほど丁寧に処理されているため、「懐かしいのに新しい『スター・ウォーズ』」を観ている気分がちゃんと味わえる。さらに今回は、旧シリーズゆかりの彼や彼女(&ドロイド)が大挙して登場。老いてなお不良性感度が高いハン・ソロ(相変わらずスペース闇金業者相手に大枚を借り逃げしている様子。プリンセスと結ばれても、虎の縞ってのはなかなか落ちんよね)、体毛のツヤにいささかの衰えも無いチューバッカ、抵抗組織指導者としての威厳が加齢と共に格段にアップしたレイア・オーガナ、永久不滅の凸凹コンビC-3POとR2-D2、よくよく見ればアクバー提督や、筆者も大好きニエン・ナンの姿まで!いつか出てくるぞと分かってはいても、大スクリーンで彼らの御尊顔を拝した瞬間にはどうしたって鳥肌が立つ。この「お久しぶりです!」という同窓会チックな感覚、ルーカスが監督した前日譚三部作ではあまり体感する機会がなかったものだ。何十年もの間、シリーズを追いかけ続けてきたファンの心を気持ち良くくすぐってくれる粋な計らいがニクい。

だが、上記のノスタルジックな要素あれこれがただの懐古趣味で終わらなかったのは、今回初登場となる新世代キャラクターたちが伝説的登場人物に負けず劣らず光を放ち、物語を牽引してくれるから。「ファースト・オーダー」の暴虐行為に疑念を抱き、レジスタンスと行動を共にすることになる元ストーム・トルーパーのフィンや、ライトセーバーで武装し、フォースまで操る正体不明のヴィラン、カイロ・レン。そして圧倒的な愛らしさで、R2-D2のマスコット・ポジションまで揺るがしかねない雪ダルマ型ドロイド、BB-8(手も足も無いこの子が披露する「BB式サムズアップ」には思わずニッコリ)。とにかく出るヤツ出るヤツ全てが魅力的で新鮮、今後の『スター・ウォーズ』世界を安心して任せられるほどの頼もしさに満ちている。とりわけ目を引くのが、新シリーズの主人公レイ役に大抜擢されたイギリス人女優デイジー・リドリー。本作の時点では出自に謎がありすぎてキャラの全貌がサッパリ掴めない……にも拘わらず、眼力と確かな演技力、そして隠しようのないスター性で些末な説明不足など吹き飛ばしてしまう「ザ・主役」。よう見つけてきたな、こんな女優さん!彼女をキャスティングしたというソコ一点だけを取っても、エイブラムス監督、拍手喝采モノの大金星である。

もちろん、最新VFXを駆使したスペクタクル・シーンも健在。陽光の中を縦横無尽に飛び回るミレニアム・ファルコン号や、湖面から水柱を上げながら超低空飛行する新Xウイングの編隊、ライトセーバーの熱で雪をジュウジュウ蒸発させながら斬り結ぶ「雪中対決」シーンなどは、視覚効果の進歩によって実在感がグンと増している。シリーズが築いてきた歴史に最大限のリスペクトを示しつつ、改良の余地がある箇所には臆することなく新技術を投入。その結果、約束事はしっかりと継承しながら、同時代に公開されるSF作品と比較しても遜色がない『スター・ウォーズ:新起動』とも呼ぶべき作品が完成した。数年に一度のビッグ・イヴェントが、このような形で再開されたことはファンとして非常に嬉しい。心の中で安堵と随喜の涙を流しながら、繰り返し観てみたくなる作品である。

最後に、筆者の友人・Y氏が本作鑑賞後、Facebookに投稿した喜びのコメントを掲載……「やるじゃん、J・J」!!

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映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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