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Published on 12月 28th, 2015 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「イントゥ・ザ・ストーム」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「イントゥ・ザ・ストーム」感想

[2014年 監:スティーヴン・クォーレ 出:リチャード・アーミティッジ]

主役:竜巻

ドキュメンタリー制作者のピート・ムーア率いる竜巻撮影チーム「タイタス」は、超巨大雷雲群の発生を感知してアメリカ中西部の街シルバートンを目指す。その頃シルバートンでは、芳しくない気象予報を尻目に地元高校の卒業式が執り行われていた。しかし天候の急激な悪化と共に大規模な竜巻が次々と発生、街は大パニックに。高校の教頭であるゲイリーは、長男のドニーが町外れの工場跡地で孤立無援に陥っていることを知る。猛威をふるう竜巻によって通信・交通手段が寸断されていく中、「タイタス」と出会ったゲイリーはチームの協力を得てドニーの救出に向かうのだが……。

「映画」で「竜巻」といえばまず真っ先に思い浮かぶのが、1996年のブロックバスター・ムービー『ツイスター』。キアヌ・リーヴス主演『スピード』(94年)の大成功で当時メチャメチャ鼻息が荒かったヤン・デ・ボン監督の力押し演出や、タンクローリーでも家でも乳牛でも根こそぎブッ飛ばすCG竜巻の迫力は劇場鑑賞にピッタリの大アトラクションだったが、登場人物の多くが竜巻研究者orその関係者という特殊シチュエーションは「誰の身にも降りかかり得る恐怖」を描き切るにはいささか限定的でどこか他人事めいていた(竜巻のタッチダウンに狂喜乱舞する連中がメインキャラなのだから無理からぬことなのだが……)。一方、『イントゥ・ザ・ストーム』では様々な世代・職種の人々を通して場面ごとに微妙に色を変えたカタストロフィーが展開するため、物語が一本調子になることはなくキャラクター描写も多彩だ。

いかにもヒーローらしいヒーローが不在、という点もこのテの災害パニック映画としては珍しい。スタローンやロック様などに代表される「ヤツについてきゃ生還ゼッテエ」な猛者が右往左往する罹災者たちを雄々しく誘導してくれる様子は観ていて頼もしいし胸がすくのだが、あんまり安定感がありすぎると災厄に対する危機意識まで目減りしてしまう。大竜巻が砂場のつむじ風程度に見えてしまっては元も子もない。比較的知名度の低い俳優たちが大自然の気まぐれを前になすすべなく逃げ惑う本作では、主役はあくまで竜巻。「セクシーすぎる教頭先生」役のリチャード・アーミティッジ(『ホビット』シリーズ(12~14年)でドワーフ族の王トーリンを演じた二枚目おじさん。ヒゲが無いとまるきり別人)が一応の主役的ポジションについてはいるが、彼とて大暴れするトルネードからヒーコラ逃れるのが精いっぱいである。

ビデオカメラや携帯電話などを目とした登場人物たちの主観映像、いわゆるPOVショットも多く使われてはいるものの、肝心カナメのシーンでは俯瞰映像やフルCG画面を使用して竜巻の暴威をガッツリ映してくれるため、POV映画にありがちな欲求不満に陥ることはない。『タイタニック』(97年)や『アバター』(09年)の第二班監督など、ジェームズ・キャメロン作品で修業を積んできたS・クォーレ監督、師匠ゆずりの腰が据わった堅実演出はカオスの中においてもしっかりと活きている。

ちなみに筆者お気に入りのキャラクターは、YouTubeの動画再生数アップのために無茶な突撃撮影を敢行するバカ野郎コンビ。スゲーだパネーだとわめきながらビール片手に竜巻に接近していくコイツら、ひと昔前ならば「んな奴いるかよ!」と自信を持ってツッコミ入れることができたと思うのだが、自撮りに熱中するあまり墓穴を掘る御仁が続出している今、彼らこそ一番「リアル」に感じられるキャラであるような気が……おっかない世の中になったものだ。

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年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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