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Published on 1月 4th, 2016 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」感想

[2014年 監:ヤルマリ・ヘランダー 出:サミュエル・L・ジャクソン]

北の国からマザファッカ!

フィンランド北部の山岳地帯。13歳の少年オスカリは、狩人(一人前の男)になるための通過儀礼として独り森へと入り、獲物を探していた。ちょうどその頃、アメリカ合衆国大統領ウィリアム・ムーアを乗せたエアフォース・ワンが何者かによる攻撃を受けて墜落、辛くも救命ポッドで飛行機を脱出したムーア大統領だったが、援軍も望めぬ深い森の中で孤立してしまう。刺客の手が刻一刻と迫ってくる中、ムーアの頼みの綱は森で偶然出会ったオスカリただ一人。非力な最高権力者と見習いハンターの凸凹コンビは、追撃をかわして見事生還を果たすことができるのか……。

予告編だけみると『ダイ・ハード』(88年)チックな対テロ王道アクションに『エネミー・ライン』(01年)等の敵中突破逃走劇をブレンドしたような印象を受ける本作。危険地帯に取り残された大統領をはぐれ者が救出するというプロット自体『ニューヨーク1997』(81年)と大した違いはない。しかしこちらの救命ポッドから姿を現した大統領は、圧倒的な口舌の雄にして希代の悪態大明神、あるときはジェダイ評議会の有力者、またあるときはワガママ戦隊アベンジャーズの統率者としてリーダーシップを発揮したサミュエル・L・ジャクソンその人!ありがちな展開に転ぶはずはないだろう……そう思って観始めたら、お話がドンドン変ちくりんな方向に。これはサミュエル御大のせいだけではない、登場人物が皆少しずつ「ズレて」いるのである。

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ロクすっぽ弓も引けずに村ではミソッカス扱い、父親からの期待値すら限りなく薄々なオスカリ君は、狩りで大物を仕留めて男子の面目を施すべく燃えに燃えている。大統領のピンチなど二の次三の次、それよかデッケぇヒグマでもいねがぁ!かつてないほどゾンザイな扱いにイラッとくるサミュエル先生だが、森でボッチは何としても避けたい。山の寒さにブルブル震えながら、生意気なガキンチョのあとをトボトボついていくサミュエル……自分、なんか切ねぇっす。

大統領の命を狙う悪党一味も、軍隊レベルの重装備にモノ言わせた大胆不敵な遣り口のわりにはイマイチ緊張感に欠ける。山を越え谷を越え、靴底すり減らしてようやく標的を捕らえたと思ったら、開口一番「写真撮るべ、写真!」。涙目の大統領と並び、持参したカメラ(ご丁寧にも三脚付き)で仲良く記念撮影。大それた犯行に及んだ理由も物凄くフワフワしており、正直意味が分からん。終盤、ついに計画の核心が語られるのか、という局面では「話せば長い」とまさかの説明放棄……ユルい、ユルすぎる。この映画の企画会議、ひょっとして居酒屋でやったのけ?さすがムーミンの故郷フィンランド、ポリティカル・サスペンスにも果てしなく牧歌的なムードが流れているのだ(←褒めてます)。

R指定作品でもないし、今回のバディは年端も行かぬ子ども。こりゃいつもの「アレ」はお預けか……と思っていたら、溜めに溜めたラスト直前、ついに出ました、サミュエル語録の中で一際眩い輝きを放つ伝家の宝刀「マザファッカ!」(レーティング対策か、語尾が銃声に食われ気味なのが少々残念)。コンプライアンスくそ食らえ、マザファッカ無しのサミュエル・L・ジャクソン主演映画なんて、クリープを入れないコーヒーみたいなもんだぜ(古!)。ファンの期待を決して裏切らない御大、道理で出演オファーが絶えないわけですよ。

前作『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』(10年)で、みんな大好きサンタさん伝説をブラックかつユーモラスに料理してみせたヤルマリ・ヘランダー監督。シリアスな題材をバカバカしく、あるいはバカをシリアスに描く演出スタイルは初見時こそズッコケるが妙に尾を引く可笑しみを持つ。国際市場への本格進出作でも持ち味を失わなかった新鋭、次回作が楽しみである。

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年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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