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Published on 1月 13th, 2016 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「パージ」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「パージ」感想

[2013年 監:ジェームズ・デモナコ 出:イーサン・ホーク、レナ・ヘディ]

※本作は映倫からR15+指定を受けました

狩れや!狩ったれや!

経済崩壊後のアメリカで、「新たなる建国の父たち」によって制定された新法・パージ。一年に一度、夕暮れから夜明けまでの12時間に警察・消防・医療機関が機能を停止し、犯罪は合法化される。パージ対策用セキュリティ・システム販売会社に勤務するジェームズは、完全防備の自宅で家族と共に「狩りの夜」をやり過ごそうとしていた。ところが、暴徒の一団に追われていた流れ者を息子のチャーリーが匿ったことで、一家は犯罪者集団に命を狙われる「標的」となってしまい……。

「嫌味な上司や恋ガタキ、憎いあん畜生共を遠慮なくブチ殺せる。しかもお咎めなし!」

……そんな夢のような、もとい悪夢のような期間限定行事が実施されたら?誰も乗りゃせんわと言い切りたいところだが、機に乗じてヒャッハー最高!と蛮行をエンジョイするバカは必ず湧いて出てくることだろう。本作にも、狂気のイベントに備えて庭でマチェーテを研ぐ「殺る気マンマン小市民」や、高性能のキリング・ツールを購入するために一年間コツコツと貯金していた(であろう)人格破綻者などがワラワラ登場。文明社会だ法治国家だと謳ってみたところで、それがイカレポンチの不在を証明してくれるわけではないのだ。

しかもマン・ハントの生贄となるのは、ほとんどが貧困層やミドルクラスの普通人。富裕階級は下界で繰り広げられる毟り合いを「アーララ、人がゴミのようね」と高みの見物だ。単純明快で手っ取り早い「ストレス解消法」をちらつかせ、国家の暗部を覆い隠すための目くらましとして利用する……映画ほど極端な遣り口ではないが、似たような事例は現実世界にも無数に転がっている。

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主人公のジェームズは、熱烈なパージ支持者でもゴリゴリの反体制でもない、いわば「無関心な傍観者」である。お上の決定には黙って従おう、座して待ってりゃ朝は来る。ご近所さんとの仲も良好、面倒事に巻き込まれる謂れは無いさ……どんな些細なトラブルも殺人動機として成立してしまう社会で何と呑気な、と思っていたら案の定、闖入者の登場によってマイホーム安全神話は一瞬のうちに崩壊。涙目の事なかれ主義者は『わらの犬』(71年)のダスティン・ホフマンよろしく銃を手に取り、押し寄せる暴力に暴力で対抗しなければならなくなるのだ。本作の監督であるJ・デモナコが脚本を担当した『アサルト13 要塞警察』(05年)で武装集団相手に籠城戦を展開したイーサン・ホークが、こちらでも安定のテンパり芝居で「頼り甲斐のない家長」ジェームズを熱演。彼の奥さんに扮しているのが『300 〈スリーハンドレッド〉』(07年)のスパルタ王妃や『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』(08~09年)のサラ・コナーなど、タフな女傑役で知られるレナ・ヘディなのも手伝って、ホークの十八番である「ハの字眉困り顔」(芸なのかコレは?)がいつも以上にキレキレである。

「そうは言うても、舞台はほとんど一軒家の中だし登場人物は少ないし……なんかこの映画、地味じゃね?」と思った人には、続編『パージ:アナーキー』(14年)をオススメ。二作目では、息子の仇を討とうとパージ当夜に街へ出たアウトローが、行きがかり上やむなく行動を共にすることになった人々と決死のサバイバルに挑む。物語空間もスケールも一作目より拡大、『ウォリアーズ』(79年)や『ニューヨーク1997』(81年)の流れを汲むB級ストリート・アクションの佳作である。

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年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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