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Published on 3月 3rd, 2016 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「クイック&デッド」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「クイック&デッド」感想

[1995年 監:サム・ライミ 出:シャロン・ストーン、ジーン・ハックマン]

ケレンに満ちた異色ウエスタン

「無法こそが唯一の法」となった荒野の町・リデンプション。そこでは年に一度、権力者ジョン・ヘロッドによる早撃ちトーナメントが開催され、腕に覚えのあるガンマンたちが賞金目当てに命懸けの戦いを繰り広げる。常勝不敗を誇るヘロッドにとって、トーナメント戦など単なる建て前。自分に怨みを持つ危険分子を公然と処刑するための膳立てに過ぎなかった。そんな中、かつてヘロッドに保安官の父を殺されたエレンもまた、美しき女ガンマンとなって町に帰還。父のかたきを討つべく、大会への出場権を手に入れてヘロッドの命を狙うが……。

弱冠22歳にしてカルト・スプラッター映画『死霊のはらわた』(81年)を世に放ち、『ダークマン』(90年)では「コミック原作映画よりもコミックのキモを押さえ」つつ魅力的なダークヒーローを生み出した鬼才サム・ライミ監督が、トライスター・ピクチャーズとWOWOW(!)のバックアップを得て手掛けた日米合作の異色ウエスタン。

90年代、『許されざる者』(92年)のヒットとオスカー受賞効果で一瞬だけ再燃した西部劇ブームの末期に位置する作品であり、おまけにライミ監督お得意のトリッキーなカメラワークとブッ飛び演出が正調ウエスタンを期待していた観客に戸惑いを抱かせてしまったことで興行的には不発だったが、いま観返してみたらば色々な意味でまァ豪華なこと。日曜洋画劇場で本作が放映されたときの故・淀川長治先生のお言葉を借りるなら、これぞまさにジャンル映画ファンにとっての「ご馳走」である。

なんたってキャスト陣の充実ぶりったらない。『許されざる者』で2度目のアカデミー男優賞に輝いたジーン・ハックマンを招聘するあたりは、映画にハクをつけるための当然の判断と言えなくもないが、大ブレイク前夜のレオナルド・ディカプリオをインディペンデント系作品からメジャーに引っ張り上げ、当時アメリカでは全くの無名だったオーストラリア俳優ラッセル・クロウをオイシい役どころで起用するなど、同じメンツを今揃えようとしたら札束がいくらあっても足りない贅沢チョイス。

主演の他にプロデューサーも兼任したシャロン・ストーン、なかなかの慧眼である。監督のイスに関しても、『キャプテン・スーパーマーケット 死霊のはらわたⅢ』(93年)を気に入っていたストーンがライミ監督にオファーを出したというのだから、なかなかどうしてシャレの分かる女傑じゃないか(そのわりに自身の出演作にはトンチンカンな映画も多い。何でや?)。

なかでもストーンからの熱烈ラブコールに応えて出演を果たしたディカプリオは、ヘロッドの息子の青年ガンマン、キッドを若気プンプンに好演。「お前なんぞ、ヨメがどこぞの流れ者と姦通してできたハンパ者に決まっとる」とけんもほろろなヘロッドに、自分の腕を認めさせて血統を証明しようとする革ジャン反抗期真っ盛りなキッドには、幾度もオスカー候補になりながら毎回賞にソッポを向かれ続けてきたディカプリオ自身の姿がダブるようでもあり、ちょっぴり切ない(先日開催された第88回アカデミー賞授賞式では、『レヴェナント:蘇えりし者』(15年)でついに念願の男優賞を獲得。おめでとう刑事プリオ!)。

 撃たれた人物の体に文字通り「風穴」があくスットコ表現(褒めてます)やクイックなズーミング、急速ドリー移動にオーバーラップと、これ以降は小出しにされることが多くなったライミ監督のケレン味あふれる映像トリックが閉店大セール級の大盤振る舞いで景気よく炸裂しており、全編うま味タップリ。『スパイダーマン』シリーズ(02~07年)の大成功でライミ・ブランドがワールドワイドに認知された今だからこそ、余計な先入観なしで楽しめる部分も多いというものだ。

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映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。

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