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Published on 5月 2nd, 2016 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「コンタクト」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「コンタクト」感想

[1997年 監:ロバート・ゼメキス 出:ジョディ・フォスター、マシュー・マコノヒー]

センス・オブ・ワンダー

エリー・アロウェイ博士は、地球外知的生命探査(SETI)プロジェクトのチームを率いる優秀な科学者。だがその研究は多くの有識者から「カネと才能の浪費」と見做され、探査計画が中止に追い込まれるのは時間の問題だった。やっとの思いで獲得した国立電波天文台の施設使用権も残り数ヶ月で打ち切り……そんなある日、こと座の恒星ヴェガに向けられた電波望遠鏡が、謎のシグナルをキャッチする。信号の正体はまさに「宇宙からのメッセージ」、ヴェガへの移動装置を建造するための設計図だった。エリーも乗組員に志願するが、地球外生命体とのコンタクトの可能性は、政治と宗教を巻き込んだ世界規模の大論争へと発展してゆき……。

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「センス・オブ・ワンダー」という言葉がある。
SFファンであれば、けっこうな頻度で読んだり聞いたりする語句なのだが、意味の説明がなかなか難しい。例えば、空想小説を読んで感動したとき、あるいはSF映画の世界観に圧倒されたときなどに感じる「ワァオ…」って感覚……見よ、この泣けてくるほど貧弱なボキャブラリー。不慣れな解説などするもんじゃないですネ。
本作が封切られた90年代後半、ハリウッドでは宇宙映画が大流行り。『インデペンデンス・デイ』(96年)、『マーズ・アタック!』(96年)、『フィフス・エレメント』(97年)に『イベント・ホライゾン』(97年)……果てはクラシックを当時の最新SFX技術でデコレートした『スター・ウォーズ〈特別篇〉』(97年)なんてものまでが公開されてコレまた大ヒットを記録、光線銃とエイリアンと宇宙船同士のドッグ・ファイトが好きで好きでたまらない「大きなお友達」にとっては、それこそ盆と正月がいっぺんにやってきたかのようなハラショー極まりないブームであった。

「考証よりもバトルを!冷静より情熱を!」なスペース・オペラ的色合いが強い上記作品と比べると、天文学者カール・セーガンの手によるハードSF小説をオスカー受賞監督ロバート・ゼメキスが監督した『コンタクト』はクソ真面目な優等生タイプ。「久々の真っ当なSF映画」と称賛する声がある一方で(この「真っ当」という言葉もイロイロと厄介なものだが……)、「こんな鯱張ったスタイルでないとSFマインドが表現できんのかい!」という否定的意見も多かった。どっちが正しいかと訊かれましてもね……『2001年宇宙の旅』(68年)からコッチ、こういう意見衝突は飽きもせず繰り返されているものだ。

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父親の影響で宇宙に興味を持つようになったエリーは、その父の死によってゴリゴリの実証主義者へと成長。エイリアンと神を結び付けて何やかやと騒ぎ立てる形而上学的論争など、彼女にとっては痴れ者の戯言同然である。「人知を超えたホニャララ」とか、「とても口では言い表せない」なんて言回しを多用する人は、エリーとは仲良くなれないに違いない。演じているのがいかにもおカタそうなジョディ・フォスターなので、人物造形がなおさら強化されている。
しかし、とうとうマシンに乗り込んだエリーがワームホールを通り抜けて目にした光景は、まさに「人知をはるかに超えたもの」だった。圧倒されっぱなしの彼女はビデオログ用の記録装置にむかって「何と説明したらいいのか分からないわ!」を連発する。しまいには「(ここへ来るべきだったのは)科学者じゃない……詩人よ」と呟き、呆然自失。その後、とある人物に擬態した「ホスト」との対話を経て、エリーの価値観は決定的に変化する。だが、彼女の神秘体験を実証できる物的証拠は何もない。全てが終わった後、真相究明のための公聴会でエリーが懸命に訴えようとする概念こそ……他ならぬ「センス・オブ・ワンダー」だ。

自らの目で確かめなければ、あるいは身を持って経験しなければ実感できない事象というものは確実に存在する。なにも言語化・データ化できることばかりが真理ではない。大多数の人々にとっての想像力の限界を、CGにミニチュア、特殊メイクや3D技術等のテクノロジーを駆使した創造力で拡張してみせる……これはゼメキス監督が自作で繰り返しチャレンジし続けてきたことであり、「センス・オブ・ワンダー」は彼の作品における大きな特性の一つだ。そして拡張された想像力は、いつしか万人が共有する普遍のものとなって新たな創造へと発展するかもしれない。実際、映画というジャンルそのものが、そうやって少しずつ進化を遂げてきた。「センス・オブ・ワンダー」……曖昧模糊としているようで、実はすごい力を秘めた魔法の言葉なのである。

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年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。
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