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Published on 5月 25th, 2016 | by ダッド編集部

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映画ギーク佐藤光の「エンド・オブ・デイズ」レビュー



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライターが語る、映画「エンド・オブ・デイズ」感想

※レビュー内にはネタバレを含みます。

[1999年 監:ピーター・ハイアムズ 出:アーノルド・シュワルツェネッガー]

大予算の突貫工事

あらずし

1999年12月。
この世の支配権を神から奪うべく、闇の魔王(サタン)が人間界に降臨した。
ある男の肉体に憑依したサタンは、ニューヨークで暮らすうら若き女性、クリスティーンを我が物にしようと暗躍を始める。サタンが次の世を支配するためには、呪われし星の下に生まれた「悪魔の花嫁」であるクリスティーンを見つけ、大晦日の夜に交わる必要があったのだ。民間警備会社に勤務するジェリコ・ケインは、要人の警護中に発生した事件がきっかけでクリスティーンと接触。彼女の身を守り抜くことを決意したジェリコは、人類の存亡を賭けてサタンと対決することになる……。

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世紀末。
ノストラダムスの大予言が派手に空振りし、懸念されていた2000年問題も大したトラブルにはつながらなかったことを知っている今となっては笑い種だが、当時の世の空気には「もしかしたら……ひょっとしたら何か起こるんじゃあないかしら?」という漠然とした期待・不安感が確かにあった。
金になると判断すれば砂場のケンカでさえネタにする映画業界が、この100年に一度きりのチャンスを放っておくはずはない。「悪魔の皆さん、出番ですよ!」と言わんばかりに、『ディアボロス/悪魔の扉』(98年)、『スティグマータ/聖痕』(99年)、『ロスト・ソウルズ』(00年)などといったオカルト・スリラーが何本も作られたわけだが、21世紀という「納期」が目前に迫ってくると、中には突貫工事で推し進めざるを得ないプロジェクトだって出てくるワケで……。

『エンド・オブ・デイズ』の撮影開始は1998年11月15日、全米公開が翌年の11月である。プリ・プロダクション段階でのトラブルや撮影後の膨大な視覚効果追加作業等を考え合わせても、かなりの強行軍だ。レビューを掘り返せば悪い評価が山ほど出てくる本作だが、締め切り期限を守りつつ完成に漕ぎ着けただけでもメッケモノと言っていい(そんな不安定な代物に150億円もの大予算をブッ込んでいいものなのか?という問いには反論のしようもありませぬが)。

前任者マーカス・ニスペル監督(のちに『テキサス・チェーンソー』(03年)で長編映画デビュー)の降板で宙に浮いた地雷企画を、職人の腕でどうにかこうにか纏め上げたのはピーター・ハイアムズ監督。DVD&Blu-rayに収録された音声解説では、「だって雇われ仕事だったんだもん!」などという愚痴をオクビにも出さず、シュワルツェネッガーをヨイショし、ガブリエル・バーンの色気に嫉妬し、嬉しそうに撮影秘話を語る。これがポール・W・S・アンダーソンあたりのケツの穴が小さいヒョーロク監督であれば、撮影スケジュールや視覚効果の出来不出来についてグチグチと言い訳がましい文句を垂れるのであろうが、それをしないのがハイアムズの男道。さすが、負け戦覚悟で『2010年』(84年)のオファーを受けたこともあるモノノフである。

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問題は演出よりもむしろシナリオにある。『エアフォース・ワン』(97年)や『インビジブル』(00年)といった空虚なビッグ・バジェット映画群を手掛けたアンドリュー・W・マーロウによる脚本はここでもスッカスカ。観た者みんなが首を傾げる「獣の数字(666)から1999へのコジツケ強制変換」は言わずもがな、1000年間練り続けたにしては妙に穴だらけなサタンの戦略や、ドンブリ勘定にも程があるタイムリミット設定、果てはまさかの「魔王早漏疑惑」まで、つつき始めたらキリがない(ゴールデン・ラズベリー賞ノミネートという「栄誉」は、ハイアムズ監督ではなくマーロウにこそ相応しかったのではなかろうか)。それに心臓手術後の復帰一作目で心持ちホッソリ体型になったとはいえ、やはり当時のシュワちゃんにはまだまだ生気があり過ぎ、勇気ある行動ゆえに妻子を奪われたヤモメのアル中男を演じるにはチト無理があった。マーロウ自身は「脚本執筆時から、主役にはシュワを想定してアテ書きしていた」とかヌカしていたが……悪いけど、お前の言うこと信用できねぇよ。身も蓋もない言い方をすれば、魔王が女子を追っかけまわして「ヤラせろヤラせろ」と迫るだけの話ですけどね、コレ(ちなみにその後、主戦場をテレビの中に移したマーロウ氏は、人気シリーズ『キャッスル~ミステリー作家は事件がお好き』で大アタリをゲット。いやはや、人生スゴロクってやつはどんな目が出るか分かりませんな)。

話がデタラメなら残るはヴィジュアル面でのお楽しみ、ということになるのだが、ソッチの観点から観るならばこの映画、案外楽しめる。助平スマイルのホームレスが陶製品のように砕け散ったり、リンゴの断面上で地獄の亡者たちが悶え苦しんでいたり……。爆破も各シーンでドッカンバッコン、地下鉄が火の海になり教会は崩壊、サタンは燃えるオシッコで車を吹き飛ばす。美男美女揃いの高校生たちが三角・四角関係に悩んだりする映画もいいけれど、ガソリンの量にモノ言わせた大爆発の連打をただジッと見つめていたい日だって、月に一、二回はあると思いませんか?私にはあります、ええ、ありますとも!!!……まったく、シュワの映画だとついつい熱が入って、毎度長文になってしまう筆者なのであった。

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映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。
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