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Published on 6月 23rd, 2016 | by ダッド編集部

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映画「陽のあたる教室」を映画ライターがレビュー。ホランド先生が教師として本気になった時、出来上がった作品とは…。



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライター佐藤光が語る、映画「陽のあたる教室」感想

※レビュー内にはネタバレを含みます。

[1995年 監:スティーヴン・ヘレク 出:リチャード・ドレイファス、グレン・ヘドリー]

遺された「作品」とは

あらすじ

元バンドマンのグレン・ホランドは、作曲する時間を確保するための腰掛け仕事として、新設されたジョン・F・ケネディ高校の音楽教師の職に就く。
音楽に無関心な生徒たちを前に、当初は教科書をなぞるだけの消極的な授業を続けていたホランドだったが、子どもたちとの触れ合いの中で、次第に教育することの責任や尊さを見出していく。先天性の聴覚障害を持って生まれた息子や妻との確執、ヴェトナム戦争で出征した教え子の死、教育予算削減による音楽科閉鎖の危機……様々な問題に全力で立ち向かい続けるホランドの「一時的な」教員生活は、気付けば30年目を迎えようとしていた……。

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「得意分野の才能をのばす」……言うは易く、行うは難し。分別ある大人が相手でも容易ならないことなのに、対象が子どもとなると難易度はさらに高くなる。脳ミソが柔らかい代わりに、精神は繊細で未成熟。当の本人ですら、何が自分の得意分野なのか認識できていない場合が多いのだから。ガッコのセンセーという職業は、だから大変であり、また責任重大なポストなのである。教科ごとの知識も勿論だが、それよりも重要なのは自己表現能力や感受性を豊かにするためのサポート、つまりは情操の教育だ。

「こんな仕事に就いたのは本意じゃない」……不満タラタラで着任したホランドが生徒に課すのは、カセットブックでも事足りるような退屈座学と杓子定規な演奏指導。当然、子どもたちの食いつきは悪く、評判も芳しくない。ところがある日の授業で、誰もが知るポップ・ミュージックとお堅いクラシック曲の関連性を説いてみたところ、生徒たちの目が輝きだす。それまで応用の利かない「死んだ知識」だったものが、ちょっとした工夫で「生きた知識」に変わったのだ。音楽クラスは、なにも音楽家を育てるためにあるわけじゃない(当たり前といえば当たり前のことだが、コレはどの教科、どんなクラブ活動についても同じことがいえる)……今までは単なる小銭稼ぎの手段としか思えなかった職務の意義に気付き、俄然ヤル気になるホランド先生。落第寸前の生徒に単位を取らせるための音楽特講、夏休みには高校生相手に自動車教習のバイト、予算カットで中止の瀬戸際に追い込まれていた演劇祭を、ブロードウェイ顔負けの歌と踊りで華やかに盛り上げる。「教えることの楽しさ」を知っている先生の姿は、現実でもフィクションでも見ていて清々しい。

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遮二無二ガンバるあまり、ときには教育方針を巡って委員会と衝突し、家族との時間も犠牲にしながら駆け抜けた年月。とてもじゃないが、ノンビリと作曲する時間なんて持てるわけがなかった。
曲を書いたり、本を書いたりして名を成した連中に比べれば、無名の音楽教師ホランドなど塵あくた同然の存在か?とんでもない。楽譜という形ではないが、彼の「作品」は、本人も知らぬうちに完成していたのだ。成果、偉業、マグナム・オーパス……その大きさ、尊さは、瞬間風速を計測するだけで判断できるものではない。本作の原題である“Mr.Holland’s Opus”(ホランド氏の作品)、それが何を指すのかを画で見せてくれるクライマックスには、観客それぞれの職種の違いを越えた普遍的な感動を得られることだろう。

ちなみに筆者の小学校3年までの担任教師も、やはり音楽の先生。戦前生まれの昔気質、拳骨ビンタも当たり前な厳格ティーチャーだったが、人望は厚く、定年退職の際にはクラス全員で大泣きしながらお別れを惜しんでいた。時代によって指導の形態は変わるものだし、過度の体罰を肯定するわけでもないが、外部からのヒステリックな声によって必要以上に委縮してしまった昨今の教育現場の姿勢には違和感を覚えてしまう。少なくとも、「子どもたちのために」というフレーズを乱用しながら、其の実、手前の都合でコトを進めようとしているに過ぎない連中の妄言には、決して惑わされないようにしたいものである。

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映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。
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