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Published on 9月 5th, 2016 | by ダッド編集部

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映画「バトルフィールド・アース」を映画ライターがレビュー《毒々映画大進撃vol.3》



この記事の執筆者は、映画ライターの佐藤光さんです。 ダッド|育児ジェントルへ、プロがエスコート

映画ライター佐藤光が語る、映画「バトルフィールド・アース」感想

※レビュー内にはネタバレを含みます。

[2000年 監:ロジャー・クリスチャン 出:ジョン・トラヴォルタ、バリー・ペッパー]

「お粗末」を楽しもう

あらすじ

宇宙からの侵略者・サイクロ星人の攻撃により、地球の文明は僅か9分間で壊滅した。
それから約1000年後、生き残りの人間たちと共に山奥で暮らす青年ジョニーは、新天地を求めて村から抜け出たところをサイクロ星人の奴隷狩り部隊に捕獲されてしまう。サイクロ司令隊長のタールは、奴隷である人間たちを「調教」して危険地帯での金鉱採掘作業にあたらせようと画策。奴隷の中でも目を引く存在だったジョニーを学習マシンにかけ、サイクロの言語と知識を学ばせる。しかしジョニーは、吸収した知識を利用してサイクロ星人を打ち倒そうと考え、密かにレジスタンスを結成。服従の姿勢を装いつつ、クーデター決行のチャンスを狙うのだが……。

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作家にして、新興宗教団体サイエントロジーの設立者でもあるL・ロン・ハバードが執筆したSF小説を題材に、自身も熱心なサイエントロジストとして知られる俳優ジョン・トラヴォルタが製作兼任で完成させた超大作。公開当時から批評・興行共にボロクソ、第21回ゴールデン・ラズベリー賞を総ナメにしたばかりか、同アワードの2000年代最低作品賞にまで選ばれてしまった、ある意味なかなか凄いビッグ・ボムである。正直、この映画より酷い代物なんて世にいくらでも存在していると思うのだが、悪評の裏には「信者が教団の聖典を映像化するために、大金とコネを使って好き放題やらかした」というイメージが、低予算映画製作者たちの憤懣や嫉妬心ともゴタ混ぜにされて横たわっているのだろう。政治でも芸術でも、金持ち連中の頓珍漢な浪費は大衆の反感を招くことが多いですからな。

「こんな連中に滅ぼされたとあっては、地球のご先祖様たちも浮かばれまいて……」と思わずにはいられないサイクロ星人のアホさ加減や、1000年間放置されていたくせに故障もなくバリバリ機能するハリヤー攻撃機(しかも操縦桿を握るのは、普通車免許も持たない穴居人の皆様)、「地球が戦場だ!」と豪語しているワリに随分と小さな区画で進行するストーリー等々、ツッコミ入れるのもバカバカしくなるようなザル設定が満載。脚本の問題点を修正するコンサルタント、いわゆる「スクリプト・ドクター」でさえ匙を投げた結果か(そもそもそんな人を雇おうという案も出なかったのか)、あるいは教祖様のアート作品に滅多矢鱈とメスを入れることにトラヴォルタが難色を示したのか、まさに「野放図」という表現がピッタリな惨状である。加えて、プロダクション・デザインが致命的にダサい。SF映画にとって美術は命、ココが充実してさえいれば話の弱さもある程度カバーが効く、と言ってもいい。『スター・ウォーズ』(77年)や『エイリアン』(79年)において、航空機のパーツや廃材を流用して低コストかつリアルな美術を創り上げたロジャー・クリスチャン監督がそのことを理解していないハズはないのだが……スタッフに口出しする権限も余裕も、監督には与えられなかったのだろうか。H・R・ギーガー風のバイオ・メカニカルなデザインを得意とする美術監督パトリック・タトポロスも、本作では持ち味をまったく活かせず、ダダ滑り。チープなセットと珍奇極まりない特殊メイクが溢れる中、ヘンテコな鼻チューブを装着した強欲宇宙人タール=トラヴォルタの高笑いだけが虚しく響く。

類い稀な誰得超大作として映画史にその名を刻み付け、挙句の果てには脚本担当者のうちの一人が「あんな映画に関わっちゃってエラいスンマセン!」的な謝罪文を発表するという珍騒動まで引き起こした『バトルフィールド・アース』。今になって観直してみても、「ダメ映画」という当時の世評が不当評価だったとは思えないものの、16年間も酷評の大波に揉まれ続けたことを考慮に入れれば、もうそろそろ禊は済んだと許してあげてもいいような気がする。昨年やっとリリースされた本作のBlu-rayソフトを仏の心で購入し、次から次へと画面に映し出されるお粗末ポイントをニヤニヤしながら楽しんでみるのも、また一興である。中身を知らずにジャケ買いしてしまった気の毒なユーザー(いるのか、そんな人?)には、セコい悪徳商法にでも引っかけられたと思って涙を呑んでもらうしかないが。

佐藤氏の過去の映画レビューはこちらから

年間200本以上の映画を鑑賞する映画ギークがオススメの映画をセレクト!

映画コンシェルジュ 佐藤光
1983年生。映像制作者・ライター。年間200本以上の映画や舞台を鑑賞し、買うCDはサントラばかり、いくら家計が厳しくともDVD・Blu-ray収集を止められない映画バカ。当の本人は「宵越しの銭っこは持たん主義」と涙目で強がっている。
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