音楽家が語る音大受験のコツ ⑤教授との相性に気をつけよう
教授・師匠との相性は音大受験に重要なのでしょうか。
今までの連載でお話したように、音大を受験するためには先生につかなければなりません。しかし、全ての先生が人格的に優れている保証などありません。
多くの人々は「優れた演奏家は人徳もある」と考えてしまいがちですが、音楽と人徳に因果関係はありません。受験生は芸大の教授、あるいはテレビに出ているような名演奏家にそれはそれは師事したがります。しかし「優れた演奏家」は必ずしも「優れた先生」とは限りません。人徳・指導力と演奏に因果律は存在しないのです。
セクハラをする音大教授
音大の教授の中にはセクハラをする人も少なくありません。私が存じている方々の名を挙げるだけでも、たくさんの教授が路頭に迷うことになるでしょう。しかし、一般にはそのような情報が出回ることがない上に、セクハラ行為を暴露することは親告罪なので、その教授に師事して被害を被る学生が毎年必ず出ています(逆にそれを利用する女学生も相当な数で存在します)。
金目当ての音大教授
金目当ての先生というのもいます。レッスンに行っても「はい、もう一回弾いて。はい、もう一回。」と言うだけで、何のアドバイスもせず時間が過ぎるのを待つだけの先生もいます。しかし、その先生にご意見したり、あるいは先生を替えてしまったりしたら、もうその大学に入学することはできません。
結論を申しますと、どんな先生に当たったとしても我慢するしかありません。それくらいの覚悟は必要となります。
理想的な音大教授とは
最近の若い人は「私はほめられて伸びるタイプ」と言った発言をする者が非常に多いと感じられます。優しい指導をして、生徒をたくさん抱えているような教授が人気といえるでしょう。しかし、私の経験則からいえば、人間ほめられて教えられたことなど何一つ頭の中に残りません。(否、恐らくこれまでほめられた事が一度もないからなのかも知れませんが。)
私の師事した教授は、無駄ともいえるほど物凄く厳しい指導をすることで有名な先生でした。しかし、その方は「俺は貴様等を音楽で食わす義務があるのだ。だからこんなに厳しくしているのだ」という持論を持っていた方で、実際、私は師匠から怒られたことだけは、未だに全て鮮明に記憶に残っています。今まで音楽の仕事で生きてきた中で、そのことついて同じヘマを二度としていません。
優しい先生より無駄に厳しい先生についた方が上手くなります。音楽の全ての要素の中で、これだけははっきりと断言できます。自分の食い扶持のために、生徒がやめないように誉めてばかりいる先生に師事して学べることはごく僅かでしょう。
自分で「伸びた」「成長した」とか言っている内は全く成長しておりません。そんな事は自分で言ったり決めたりするものではないのです。インタビューの度にそんな事ばかり言っていた、野球やゴルフのなんとか王子などの現在がその答えとなります。
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「音大受験記事一覧」
音楽家 学士太郎 音大卒業後、作曲・編曲家、コントラバス奏者、ギター奏者として活動する傍ら、公立大学や私立高校、音楽学校などで講師を務めるなど、音楽ビジネスを幅広く手がけている。 | ![]() |
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